日本では来年度からの費用対効果評価の試行的導入が予定されていますが、海外では医療技術評価(health technology assessment, HTA)や医療経済評価(費用対効果評価)がすでに多くの国で行政レベルで利用されています。並行して、HTAや医療経済評価に関するアカデミックな議論の場所もでてきており、ISPOR(International Society for Pharmacoeconomics and Outcomes Research)はそのひとつです。医療技術評価(HTA)をテーマとした学会にはHTAiがあります。

 ISPORは医薬経済学とアウトカム研究の啓発と普及を推進する国際学会であり、毎年北米においてInternational Meetingが行われています。今年のInternational Meetingは5月16日~20日にかけてアメリカのペンシルバニア州にあるフィラデルフィアで行われました。フィラデルフィアは独立記念館や自由の鐘があり、合衆国建国ゆかりの地でもあります。今回で20回目となるInternational Meetingですが、フィラデルフィアは第1回のISPORのInternational Meetingが行われた記念するべき場所でもあります。また、会場では20回目となるInternational Meetingを記念して、これまでのISPORの軌跡を紹介するパンフレットが配られ、初日のプレナリーセッション前のセレモニーではビデオが流されました。

初日のプレナリーセッションではヘルスケアシステムについてのセッションであり、アメリカにおけるヘルスケアシステムの取り組みや今後の展望について紹介されました。二日目はがん、心血管領域の診療ガイドラインにおいて費用対効果が取り入れられたことを取り上げたセッションでした。アメリカでは民間保険での決定においては費用対効果が明確に導入されていることはありませんが、診療ガイドラインへの費用対効果の導入や、費用効用分析・医療技術評価(HTA)の論文も多く出ており、費用対効果評価は活発に行われているようでした。3日目はビッグデータの活用方法についてのセッションでした。近年、活用が注目されているビックデータをどうヘルスケアシステムに取り込んでいくべきか、エビデンス創出のための新しいアプローチとその取組についてのセッションが行われました。

今回の学会では、私たちも参加している医療経済評価・医療技術評価(HTA)を扱う各国の企業が集まったMINERVA Network(www.minerva-network.com)がブースを出展しており、MINERVA Networkに参加している海外の企業と交流、情報交換を行いました。ブース内ではMINERVA Network加盟企業が開発したモデルが展示してあり、モデルの仕様や開発についての日本と海外の違いについて意見を交わし、より理解を深めました。

また、日本人の参加者も30名ほど見られ、普段は忙しくてあまりお話しできない研究者の方や企業の方ともお話しすることができ、日本人同士の情報交換や交流もありました。

今回のInternational Meetingではショートコースやワークショップへの参加、国内外の研究者、企業の方々との交流などを通して多くの刺激を受けることができ、大変有意義な時間を過ごすことが出来ました。

MINERVAのブースにてMINERVAのメンバーの方々と。
様々な国々の方が参加されています。